簡易サウナとは?消防庁が新たに定めた防火基準について解説

サウナブームを受けて全国的に普及が進むバレルサウナやテントサウナ。事業者・個人を問わず導入が進んでいますが、これまで一般的だった固定式のサウナとは省令上の相違点があり、統一したルール整備が求められてきました。
こうした要望を受けて総務省消防庁では、新たに「簡易サウナ」という位置づけを設け、バレルサウナやテントサウナ向けの防火基準を定めました。新たな防火基準は2026年3月31日から施行されます。
今回は簡易サウナの定義や、新たな防火基準が定められた経緯、どのような要件が該当するのかについて解説します。
▪️新たに設けられた簡易サウナとは?
簡易サウナとは、総務省消防庁が新たに定めたサウナ設備の種類です。簡易サウナには屋外で使用することを前提とした「可搬式」「簡易型」のサウナが該当します。
具体的には下記のようなテント型サウナやバレル型サウナが簡易サウナに分類されます。
- テント型サウナ:テント内でサウナストーブを設置するタイプ
- バレル型サウナ:木製で樽(バレル)のような形をしたタイプ
また、これまでサウナ設備としていた呼称は「一般サウナ設備」へと変更され、従来のサウナと簡易サウナを明確に区分けしたルールが整備されたことになります。
なぜ新たに防火基準が設けられたのか?
今回新たに防火基準が設けられた背景には、従来の省令ではテント型サウナやバレル型サウナの取り扱いに対応できなくなってきたためです。
- これまでの省令ではホテルなど屋内のサウナ設備を想定
- 簡易サウナは屋外で使用し、同一のルール運用ではズレが生じる
これまでの省令では、サウナ設備を「サウナ室に設ける放熱設備」と定義しています。ホテルや温浴施設のような屋内で、固定された状態での使用を想定しています。そのため離隔距離(可燃物に引火しないための距離)や、壁や床、天井への不燃材の使用をはじめ、厳格な基準が設けられていました。
しかし簡易サウナの使用は屋外が一般的で、バレルやテントには可燃性が高い素材が使用されています。一方で、万が一引火した場合でも、すぐに消火や避難ができるといった特長があり、従来の省令に照らし合わせるとズレが生じてしまいます。
現場では「狭いテント型サウナやバレル型サウナでは離隔距離を取ること自体難しい」といった声や、「自治体や消防本部によって判断に違いがある」といった声も多く寄せられていました。そこで今回の防火基準の改正により、ルールの曖昧さをなくし、より安全に簡易サウナを運用するのが目的です。
▪️新たな防火基準の要件は?
今回の改正ではより現場での運用に即したルールを設けるため、総務省消防庁を中心に有識者や業界団体、消防関係者を集めた検討会(可搬式サウナ等の特性に応じた防火安全対策に関する検討会)が設置されました。
検討会では実際にテントサウナとバレルサウナを使った燃焼実験を行い、サウナの種類に応じたデータを収集。これをもとに、新たな防火基準の要件を定めました。
では、具体的に定められた要件を確認していきましょう。
1.サウナストーブは最大6kw以下に限定する
まず、簡易サウナに使用するストーブの定義が明確に定められました。最大出力6kw以下で熱源に薪ストーブまたは電気ストーブを使用するものが想定されています。6kw以上のストーブを使用する場合は、消防への確認や個別での対応が必要となります。
また、今回の燃焼実験で使用されていない灯油やガス、木質ペレット・木材チップなどを熱源としたストーブは、引き続き「一般サウナ設備」のルールで運用されます。
テントサウナやバレルサウナといった簡易サウナを使用する場合は、最大出力6kw以下のストーブを基準としてチェックしておきましょう。
2.離隔距離は「100℃超えない」もしくは「引火しない」距離をとる

離隔距離についても新たな要件が定められ、「可燃物が許容最高温度(100℃)を超えない距離」または「引火しない距離(可燃物の表面温度が200℃~300℃を超えない)」のうち、いずれか短い距離が確保されていれば使用できると改正されます。
これまでは可燃物との離隔距離を長く取ることが必要とされてきましたが、より現場での運用に即したルールに変更されます。
【具体的な離隔距離について】
具体的な離隔距離について、今回の検証実験のデータが公開されています。実際の運用時は、実験で引火しないことが確認された下記の数値を参考値として使用できます。
1. テント型サウナ + 薪ストーブ

2. テント型サウナ + 電気ストーブ

3. バレル型サウナ + 薪ストーブ

4. バレル型サウナ + 電気ストーブ

3.熱源の遮断装置を設置する
従来までの省令でも、サウナ設備を設置する場合は、温度が異常に上昇した場合に直ちに熱源を遮断できる装置を備えることが必要とされています。
今回の改正で簡易サウナの場合、薪ストーブは自動消火装置のほかに消火器を設置することで対応できると変更されています。
4.転倒防止措置をおこなう
簡易サウナは構造上軽いものが多いため、適切な転倒防止措置をおこなうことが明記されています。とくにテントサウナは軽量なため、とくに防止措置を徹底することが必要となります。
5.届出に関する変更
これまで簡易サウナを使用する際は、火災リスクを下げるため消防への届出が必要とされてきました。今回の改正では、個人使用の場合には届出は不要であると変更されています。
しかし商用利用の場合は届出が必須となり、簡易サウナであっても不特定多数の客に対してサウナを提供する場合は、公衆浴場法が適用されるため注意が必要です。
プライベートでの使用以外では、従来どおり消防や関係機関への届出が必要か、確認するようにしましょう。
サウナIoTや愛サ点検で安全なサウナ運用を実現

サウナ施設の増加により、近年は安全管理が不十分な施設での事故が増加しています。これを受けて自治体や消防庁では、非常ボタンをはじめとした安全基準を満たしているか、立ち入り調査を強化しています。
今回の防火基準の改正により、これまで曖昧だった簡易サウナに対して明確な安全基準が設けられました。これまでは問題がなかったサウナ施設でも、法律に違反する可能性があります。いま一度サウナの安全基準や管理体制を点検し、基準に漏れや不足がないか、チェックすることが大切です。
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