ONE SAUNA対談 vol.1|SANU Hilo Homma
- Talk about ONE SAUNA
朝日が昇る前の澄んだ時間、私たちは「SANU 2nd Home」八ヶ岳 のサウナ棟に集まった。「SANU」ブランドディレクター 本間 貴裕さんと「ONE SAUNA」ブランドディレクター 宮原 秀雄さんから紡ぎだされる言葉には深い繋がりを感じた。きっとサウナに入って身も心も丸裸になっていたかもしれない。今回はブランドを背負うお2人の対談をお届けする。
「人が合う」と「ブランドも合う」
―――今回「SANU」にサウナを入れたきっかけについて教えてください。
本間 やっぱり最初にヒデ(宮原)さんと会っていたのが大きいですね。Yard Works(ヤードワークス:ONE SAUNAが協業する山梨のランドスケープデザイン会社)の慶(代表の天野 慶(アマノ ケイ))さんから紹介いただいたヒデさんの印象は、サーフィンが好きで、事業をやられている人。しかも青島と東京を行き来して最高のライフスタイルじゃん!みたいなイメージがあり、「何か一緒にやれたら嬉しいな。」が一番初めです。「SANU」にサウナを作りたい思いはあったけど、踏み切れていなかったんですよ。理由は、僕自身スノーボードの後のサウナは流行る前から好きでしたが、昨今サウナがすごく話題になる中で流行っているから「SANU」が取り入れるのは違うなと思って。「自分たちが本当に欲しいと思うものにはストーリーがある。」そういう意味で決定打がなかったんですよね。そこでヒデさんと出会い、八ヶ岳のオーナーさんもサウナ好きが重なり、サウナ導入に至りました。
―――お二人が出会ってから「ONE SAUNA」導入の期間が短いですね。
宮原 サーフィン、サウナ、キャンプとか好きなものが似ているからね。
本間 ノールックで握手できる感じです。
―――数あるバレルサウナの中で、なぜ「ONE SAUNA」を選ばれたのですか?
本間 それはヒデさんに会っていたから。ここがすごく大事で、デザインを見てデザイナーを選ぶとか、建築を見て建築家を選ぶことはしないんですよ。逆で、この人と会ったからこれしよう。人ベースで何かを作っていくのが好きで、幼い頃、ドッジボールやりたいからドッジボールに強い人を集めようではなくて、出会った好きな人がドッジボール強いからドッジボールやろうという思考なんです。そこに「ONE SAUNA」のヒデさんと会ったから、「一緒にやりましょうよ。」の順番ですね。
―――面白い決め方ですね。
宮原 似ているよね。僕も本当に人ありきだから。そこが根本的に一緒だと思えているから合うのだろうね。普段なら猛烈に「ONE SAUNA合うよ。」とプッシュしないのだけど、「SANU」だけはプッシュしたね。サウナを流行りで入れたくないことも、ストーリーが欲しいことも理解していて、「SANUにONE SAUNAが入る理由がないとやらないよ。」と捉えていた。僕は「SANU」の会員で構想段階から話を聞いているから、絶対的にサウナが合うという無茶苦茶な自信もあった。実際にサウナのないキャビンに泊まったときに、やっぱり「ONE SAUNA」が絶対合うと確信したよね。だって、木材でキャビン作ってサステナビリティにこだわって、「ONE SAUNA」は釘一本も使わなくいつでも解体できる。そういう話だよね。
本間 「人が合う」ということは、きっとお互いが作っているプロダクトも合うんですよね。
僕の信念に近いんですけど、3.11の震災があった時、NPO活動で泥かきを半年間やっていたんですよ。ボランティアって無償だし、泥だらけになってシャワーの無いテント生活していたんですけど、みんなめちゃくちゃ輝いて仕事していて。「あ、社会の役に立つことと、気持ちがいい人達と仕事をすると、もはや泥かきでも楽しいんだ。」と思ったので。「気持ちのいい人達と仕事をする」ことが自分にとって大きいし、強いて言えば、それがオリジナリティになると思ってもいる。マーケティングベースでやっちゃうと同じものが出来てくるので。人との出会いベースでやったら絶対同じものができない。
「SANU」があることで出会う土地
―――実際にサウナが導入されてお客様の反応はどうでしたか?
本間 サウナ棟が1番人気です。新しいものができたから行きたい人もいますが、サウナ棟に宿泊して、その場で次のサウナ棟の予約をするという事象が発生しています。僕自身も「SANU」会員なのでサウナ棟の空き状況ずっと見ていますからね(笑)何が良いってサウナを体験したことのない人でも楽しんでもらえる思いがあって、弟家族を連れていきたいんですよ。水風呂が苦手な人って結構いるじゃないですか。ここだったら無理に入らなくても外気浴だけでも気持ちいいから、サウナ好きもそうじゃない人にもサウナを紹介する場所としていいなと思っています。
―――宮原さんは「SANU」会員の初期メンバーですが、なぜ会員になったのですか?
宮原 これも逆で、ヒロがやるサービスだから。自分もやりたいと思っていたサービスを早々に形にされたというリスペクトもある。なぜかというと、東京にいる時に千葉の一宮とのデュアルライフを6年経験してから宮崎に移住して、また東京に戻って東京と宮崎を行ったり来たりして。常に複数拠点を持って生きてきている。「SANU」がリリースする時に、「ヒデさん会員になってくださいよ。」と言われていたし、会員になるつもりだった。だって絶対使うとわかっていたからね。海派の僕がこんなに山が好きになれているのは「SANU」のおかげ。ある程度自分の中でライフスタイルを持っている人間を変えさせてくれるって、すごい事だからね。
本間 「SANU」があることで出会う土地ってありますよね。白樺湖、八ヶ岳なんて人生で来なかったと思う。
宮原 わかる、「SANU」のおかげで八ヶ岳が大好きになった。
本間 その中でサウナが果たす役割って大きいと思っています。人と自然がつながるには、実は何かのツールが必要で、スノーボードという板が1枚あれば、雪山がよりリアルに見えてくるし、サーフボードが1枚あれば、波が鮮明に見えてくるし、釣竿があると川と友達になれる。サウナはただそこに座って火と水の恩恵を受けていくと、森の景色と空と風とリンクしてくれるから、自然とつながる手段だと思うんですよね。
宮原 「ONE SAUNA」が謳っている「play sauna」を紐解いていくと、「サウナ+(プラス)」的な考えになってくるわけですよ。僕らがいう「play sauna」って「サウナ入ろう」じゃなくて「サウナで遊ぼうぜ」だからさ。単にサウナ入るよりも、朝散歩行ってサウナ入ってみたり、僕らで言うとサーフィン、ゴルフ、キャンプしてサウナ入ったりとかさ。その何かをもっとファンにするためにサウナがある。
本間 友達と一緒にサーフィンしてその後のサウナでする波の会話がサーフィンと同じぐらい楽しいし、それはスノーボードも釣りも一緒。自分の家にサウナほしいと思いますね。
宮原 なるよね、結果そうなってくるよね。
コミュニティを紐解くと「好きの連鎖」
―――地域の関わりで意識していることはありますか?
本間 そうですね。いっぱいあるけど。「SANU」にはオペレーションチームがあって、掃除をしてくれる地元の人達としっかり話すこと。「ヒロさん、あそこの店最高なので行ってください。」と言われて行くとやっぱり最高なの。単純にビジネスとしての相乗効果みたいな話じゃなくて、やっぱりその地域にお邪魔する側として地域の人たちをリスペクトしているし、その人たちが提供しているものに感動するんですよね。だから、単純にその地域に素敵な人が多いので、好きになるというすごくシンプルな話。
本間 現代社会の中で「コミュニティ」という単語ってすごく乱用されて、そこはすごく慎重に考えなきゃいけないと思っている。
コミュニティを紐解いていくと単純で、「好きの連鎖」なわけですよ。「これが好き」という人が周りにどんどん集まっていくのがコミュニティなので。その地域が好き、自然が好き、食べ物が好きという人たちが集まって、結果論的にコミュニティになることが大事だと思うんですよね。 狙っちゃうと、どうしてもきな臭くなる。
宮原 本当にその通りだと思うよ。「コミュニティ」って本やビジネス講義でよくあるけど、頭では理解できても実際うまくいくかは別だよね。だからヒロみたいに理屈よりも、心で動いている人たちは相手の心に届きやすい。単純に「GOOD VIBES ONLY」で生きているだけだから、その時にグッドバイブスの人たちが集まり、それを傍から見たら結果的にはコミュニティやファンみたいになっている。
「ONE SAUNA」はビルダーかつメーカーだから本来は販売という接点しかないけど、「ONE SAUNA」のコミュニティをどう連鎖させていくか。着火と導線は考えなきゃなんだよね。そこはブランドとしての責任があるので。
大げさに言うと「人生が変わる体験」
―――最後の質問です。「ONE SAUNA」の今後の展開について教えてください。
宮原 「ONE SAUNA」は、サウナの気持ちよさや楽しさが広がればいいというのは大前提で、もうそこに尽きるね。「ONE SAUNA」の立ち上げはハミダシ学園(宮原が運営するコミュニティ)のサウナサークルじゃん。サウナ好きが「サウナでなんかしたいよね。」の一言で始まって今はビジネスになった。本当にそこが原点で大げさに言うと「人生が変わった。」みたいに言う人がいるじゃない。だからそんな体験をしてもらえる人が増えると良い。
「ONE SAUNA」の「ONE」は「サウナでひとつになろう。」という思いが含まれているから。
―――「SANU」の今後の展開について教えてください。
本間 セカンドホームを日本に広げて世界にも広げていきたい。「自然を好きになる」というのは、僕らの大きなテーマで「Live with nature.自然と共に生きる。」というコンセプトの意味は「好きになること」と、「守っていくこと」の2つ。セカンドホームというのは「自分の家」なんですよね。自分の家の庭にペットボトルが落ちていたら「拾おう。」と思うし、庭の木が枯れそうだったら「なんで枯れちゃうんだろう。」と考えるし、自然をどう守ったらいいのかという思考になる。
最終的には「地球を住処にする」というのを描いていくことがセカンドホームだと思っているんですよね。セカンドホームを日本中、世界中に広げていって、その過程で、ホテル、ファーストホームに広げていきたいっていうのが「SANU」の未来ですね。
ー編集後記ー
今回の対談前夜に「SANU」に集まりワインを飲みながら話す機会があった。ボトルを1本空けたせいなのかサーフィン仲間としての相性なのか、何気ない話の中でふと真剣に語りだす二人の言葉からは目には見えない深い繋がりを感じた。2人の相性が合うからこそブランドも合い、強い関係が築かれていく。人はこの情熱を求め、集まり、自然とコミュニティが形成されていくのだと実感した。この情熱がさらにブランドの熱を創ることに違いない。
本間 貴裕(ほんま たかひろ)
株式会社Sanu Founder/Brand Director
2010年「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を」を理念に掲げ、ゲストハウス・ホステルを運営するBackpackers’ Japanを創業。同年、古民家を改装したゲストハウス「toco.」(東京・入谷)をオープン。その後、「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」(東京・蔵前)、2015年「Len」(京都・河原町)、「CITAN」 (東京・日本橋)、「K5」(東京・日本橋)をプロデュース、運営する。そして2021年春、“Live with nature.“を提案するライフスタイルブランド「SANU」設立。第一弾として、豊かな自然の中のセカンドホーム・サブスクリプション事業の展開をスタート。
宮原 秀雄(みやはら ひでお)
株式会社Libertyship 取締役 / ONE SAUNA ブランドディレクター
1997年3月関西学院大学経済学部卒業後、同年4月より株式会社博報堂入社。2014年3月末に退職後、株式会社CANVASを立ち上げ、ライフスタイル誌『CANVAS』の発行人を務めながら、各種プロジェクトのプロデュース/マネジメントやブランドのクリエイティブディレクションを行う。翌2015年1月に東京を離れ家族で宮崎へ移住。同年夏青島で「AOSHIMA BEACH PARK」を総合プロデューサーとして開業。その後、横の土地で「AOSHIMA BEACH VILLAGE」をもプロデュース。 2020年9月より株式会社Libertyshipへ取締役としてジョイン、同年12月に代表の揚松と共にONE SAUNAブランドを立ち上げる。