サウナや温泉、銭湯の違いは?事業別のメリット・デメリットを比較
「サウナや温泉、銭湯といった温浴施設の経営に興味がある」
今回はそんな方に向けて、各事業の違いと事業目線でのメリット・デメリットについて解説します。温浴施設は種類が多くそれぞれの違いが曖昧ですが、各事業は法律できちんと定義が分かれています。
まずは、各事業の定義を理解する基本となる「公衆浴場法」から見ていきましょう。
温浴施設の違いは公衆浴場法できちんと定義づけされている
温浴施設とは温浴(温かいお湯に入浴する)できる設備が用意された施設全般を意味します。
たとえば、
・温泉
・銭湯
・スーパー銭湯
・健康ランド
・サウナ
などはいずれも温浴施設に該当し、日本人には馴染み深い存在です。利用者からすればこれらの施設は規模や入浴スタイルこそ違いますが、どれも似たような印象を持ちます。しかし「事業」という視点では、各施設は「公衆浴場法」と呼ばれる法律できちんと定義が分かれています。
公衆浴場法では2種類の位置づけが用意されている
公衆浴場法とは厚生労働省が定めた法律で、次のような施設に法律が適用されます。
公衆浴場は、「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」と定義されているが、これらの営業を行う場合には公衆浴場法に基づき都道府県知事の許可を得なければならない。
先ほどご紹介した温泉や銭湯、サウナといった温浴施設はいずれも公衆浴場法に該当し、施設を営業する場合は法律を遵守する必要があります(※宿泊施設の浴場は旅館業法で管理されるため、公衆浴場法の範囲外)。
さて、各施設の定義づけでポイントとなるのが、公衆浴場法に明記されている2種類の位置づけです。
1.一般公衆浴場
2.その他の公衆浴場
1.一般公衆浴場
一般公衆浴場とは、「地域住民の日常生活において保健衛生上必要なものとして利用される施設」と定義されており、いわゆる銭湯が該当します。昔はお風呂がない家庭も多く、こうした人々にとって銭湯は“ライフライン”の一つでした。そこで地域住民の生活や衛生を守る観点から、一般公衆浴場に該当する施設は安価な公定価格で営業をする代わりに、税金や下水道代を一部公金で負担する仕組みが設けられています。
2.その他の公衆浴場
その他の公衆浴場は、一般公衆浴場には該当しない温浴施設のことで、スーパー銭湯や健康ランド、サウナなどが該当します。一般公衆浴場のように税制面での優遇措置はありませんが、価格設定やサービスについて自由な営業が許されており、より柔軟な事業運営が可能です。
温浴施設の事業別に見るメリットとデメリット
ここまで公衆浴場法の概要と、同法で定められている「一般公衆浴場」と「その他の公衆浴場」の違いについて解説しました。
ここからはこの前提をふまえて、各温浴施設の違いと事業目線でのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
銭湯
銭湯は一般公衆浴場に該当します。前述した通り、人々の“ライフライン”としての役割を担うため、水道料金や税制上の優遇措置が用意されています。また利用料金も各自治体で定めた安価な公定価格が用意されており、これを守る必要があります。
【メリット】
事業としての銭湯のメリットは、水道料金や税制上の優遇措置でしょう。温浴施設の運営にとって負担が大きいランニングコストを抑えられます。また、一般公衆浴場を新たに設置する場合は、近隣の施設と一定以上の距離を取ることが法律で定められています。そのため、近隣に競合となる銭湯が少ない点も、事業面でのメリットとなります。
【デメリット】
税制やランニングコストへの優遇措置がある銭湯ですが、利用料金は安価な公定価格が用意されています。この料金は変えることができないため、タオルやアメニティの貸し出しや別途サウナの入浴料を設けるなど経営努力が必要です。また近年ではライフラインとして銭湯を利用する人が減少しており、サービス面でバリエーションが多いスーパー銭湯や健康ランドが人気を集めている点もネックです。
スーパー銭湯・健康ランド
スーパー銭湯や健康ランドに明確な定義はありませんが、従来のお風呂だけが用意された銭湯ではなく、サウナやジェットバス、岩盤浴やマッサージなど多彩なサービスが用意されているのが特徴です。また施設の規模も大きく、飲食やジム、休憩スペースなどを併設するなど独自色が出やすい種類といえます。
【メリット】
その他の公衆浴場の該当するスーパー銭湯や健康ランドは、利用料金を自由に設定できます。「安価でリーズナブルな施設」や「高価格ながらラグジュアリー感ある施設」など事業者の目指すスタイルに合わせて、設備やサービスとのバランスを見て価格を設定できます。
また独自色を出しやすいのもこうした施設の魅力で、イベントやサービス内容などアイデアを具体化しやすいのも特徴です。
【デメリット】
自由度が高い一方で、一般公衆浴場のような優遇措置は用意されていません。そのため利益を出すためには集客をはじめ経営努力が必須となります。ランニングコストの負担や設備の修繕費、提供するサービスが多ければ人件費もかさみます。また一般公衆浴場と違い競合が乱立しているため、常に競争にさらされ続けるのもスーパー銭湯や健康ランドのデメリットです。
サウナ
ここでご紹介するサウナは、サウナ単体で事業に取り組んでいる施設を意味します。近年はサウナブームが追い風となり新規のサウナ施設が増加傾向にあり、温浴業界でも注目度が高まっています。
【メリット】
サウナ事業のメリットは、比較的新規事業者でも参入しやすい点です。銭湯やスーパー銭湯に比べて省スペースで設置でき、設備投資やランニングコストを抑えられます。また、近年のサウナブームにより、サウナの認知度や価値が高まっている点も追い風でしょう。こうしたブームに合わせて、事業者向けのサウナサービスを展開する企業も増えており、今後の成長が見込まれる点も魅力的です。
【デメリット】
サウナ事業のデメリットとしては、新規参入が増えており競合が乱立している点です。やはりサウナブームにあわせて既存の事業者もサウナ設備に力を入れており、新規で利益を出すには質の高いサービスときちんとした事業計画が欠かせません。
また、事業として長く継続するなら、ブームの追い風だけに頼るのではなく、自社でリピーターを獲得していく経営努力は必須でしょう。
温泉
温泉は環境省が管轄する「温泉法」で定義が決められています。
・源泉から湧き出た時の水温が25℃以上であること
・または25℃以下でも、国が定めた19の成分の中から1つ以上が規定量以上含まれていること
上記の定義に該当した場合、温泉と名乗って営業が可能です。
【メリット】
温泉は日本人の文化に長く根付いているため、日常利用や宿泊、旅行などさまざま利用者をターゲットにできる点がメリットです。温泉と名乗れるだけでも施設の“売り”が生まれるため、集客や事業運営の面で追い風が期待できます。
【デメリット】
一方で、温泉を開業するにはいくつも手順を踏む必要があります。「温泉法」には、日本の天然温泉を保護する目的もあるため、勝手に掘削や採取を行ってはいけません。計画を立案し行政期間に提出後、掘削や採取のたびに許可申請を待たなければなりません。安全面の観点から、施設の設備や安全対策に関する規制も多いため、開業までのハードルが非常に高いといえます。
サウナ事業の業務効率化を実現するIoTシステム「ON SAUNA」
今回はサウナや温泉、銭湯といった温浴施設の違いと事業目線でのメリット・デメリットをご紹介しました。
温浴施設の中でも比較的開業へのハードルが低いのがサウナです。近年はサウナブームの追い風を受けて、独自性や質の高いサービスを提供するサウナであれば、事業としてもきちんと採算が見込めます。とはいえ、事業として取り組む以上は、業務効率の改善に絶えず取り組まなければなりません。
国産サウナブランドのONE SAUNAでは、サウナIoTシステム「ON SAUNA」を提供しています。サウナ室の管理や環境設定をすべてアプリで管理可能。業務効率の改善や労働負担を減らし、事業の最適化を後押しします。サウナ事業の業務効率化をご検討中の方は、ONE SAUNAまでお気軽にお問い合わせてください。