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kupu sauna Talk Event レポート|“気持ちいい熱”を追求した、プロダクト思想の裏側

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kupu sauna Talk Event レポート|“気持ちいい熱”を追求した、プロダクト思想の裏側

「熱の流れ」まで設計する。

2026年5月27日(水)に開催された「kupu sauna Talk Event」。

本レポートでは、ONE SAUNAがイベント当日の様子とともに、「kupu sauna」に込められた思想や細部へのこだわりをお届けします。

イベントには、株式会社マルニ木工 代表取締役社長・山中氏、プロダクトデザイナー・熊野亘氏、そしてONE SAUNA(Libertyship)代表・揚松が登壇。

国産サウナプロジェクト「kupu sauna」がどのように生まれ、どんな思想と技術によって形になったのか、その開発背景が語られました。

印象的だったのは、“デザインサウナ”という言葉では到底片付けられないほど、細部まで徹底的に設計されていたこと。

そこにあったのは、見た目の美しさではなく、
「どうすれば、もっと気持ちいい熱になるのか」という執念だった。


最初に考えたのは、“形”ではなく「熱」だった

kupu saunaの設計は、まず「良いサウナとは何か?」を分解するところから始まったという。

熊野氏がフィンランドで体験した古典的なスモークサウナ。

煙で建物全体を温め、壁・天井・床まで蓄熱するその空間は、一般的なサウナとは熱の質がまったく違った。

「熱が身体に落ちてくる」

そんな感覚だったという。

そこで熊野氏が着目したのが、“熱の滞留位置”。

一般的なサウナは、空間上部だけが高温になりやすい。
特にバレルサウナは、最も熱いポイントが頭上よりさらに高い位置にあり、足元との温度差が大きい。

実際、バレルサウナでは足元が30℃前後しか上がらないケースもあるという。

だからkupu saunaでは、「一番気持ちいい熱の位置に、人の頭を持っていく」という考え方から断面設計がスタートした。


なぜ、“ハーフドーム”という形になったのか

kupu saunaの象徴とも言えるハーフドーム構造。

しかし、この形はデザイン先行で生まれたものではない。

まず考えられていたのは、“熱をどう循環させるか”。

完全な四角形では、熱が角に滞留する。
一方、完全なバレル形状では、熱のピーク位置が高くなりすぎる。

その中間として辿り着いたのが、この“ハーフドーム”だった。

ロウリュによって発生した蒸気は、アーチ状の天井に沿って流れ、人が座る位置へ自然に落ちてくる。

しかも、ドーム途中から垂直壁へ切り替わることで、蒸気が一度壁に当たり、そこから柔らかく降りる。

この“ロウリュの落ち方”が、体験会でも大きな驚きを生んだ。

「熱が刺さらない」
「包み込まれる感じがする」

そう感じる理由は、まさにこの断面設計にあった。


「どこに座るか」で熱環境を選べるベンチ設計

kupu saunaでは、ベンチの高さにも明確な意図がある。

一般的なサウナでは、“全員が同じ熱環境”になりやすい。

しかしkupu saunaでは、ベンチに高低差をつくることで、体調や好みに合わせて座る場所を選べるようになっている。

しっかり熱を浴びたい人は上段へ。
ゆっくり入りたい日は下段へ。

これは、フィンランドの大型サウナ文化から着想を得たものだという。

フィンランドでは、サウナ上段に“熱を知り尽くした常連”が座る文化がある。

頭の位置をどこへ置くか。
それだけで、サウナ体験は大きく変わる。

kupu saunaでは、その感覚をコンパクトな空間の中で再現している。


「熱を逃がさない」ために決められたドア寸法

実際にkupu saunaへ入ると、入口は少し低く感じる。

しかし、それには明確な理由がある。

サウナは、人が出入りするたびに大量の熱が逃げる。
特に高温域の熱気は上部へ溜まるため、ドアが高すぎると、一気に温度が落ちてしまう。
だからといって低すぎると、今度は圧迫感が出る。

kupu saunaでは、そのギリギリのバランスを探るため、何度も試作を繰り返したという。

“入りやすさ”だけではなく、“熱環境”まで含めた設計。

この感覚は、まさにサウナ専業メーカーとプロダクトデザイナーが組んだからこそ生まれたものだった。


吉野ヒノキの「柔らかさ」をどう扱うか

今回採用された奈良・吉野産ヒノキ。

香りや美しさだけでなく、サウナ材として非常に優れた特性を持っている。

特に特徴的なのが、“熱くなりすぎない”こと。

比重がフィンランドサウナ材に近く、座った時の肌当たりが柔らかい。

一方で、ヒノキは家具材としては柔らかく、割れやすい。

そのため、通常の家具づくりのようにビスを打つと、木が割れてしまう。

kupu saunaでは、木材の動きや膨張収縮を前提に、固定方法や受け構造まで一から設計し直している。

高温から氷点下近くまで変化する環境。
屋外使用による湿度変化。
長期使用による木材の動き。

それらをすべて想定した上で、“長く使える国産サウナ”として設計されていた。


「サウナ専用」にしすぎないという思想

kupu sauna チェアにも、熊野氏らしい思想が詰まっている。

現在のサウナ施設には、“整うためだけの椅子”が多い。

しかし熊野氏は、「サウナの時しか使えないもの」に違和感があったという。

だからkupu saunaのチェアは、普段は普通のベンチとしても成立するデザインになっている。

さらに座面は、巻き簀のように丸めて取り外せる構造。
乾燥しやすく、メンテナンスしやすい。
水が溜まりにくく、風が抜ける。

見た目以上に、“どう長く使うか”が徹底的に考えられている。


「かわいい」だけで終わらせないための設計

kupu saunaは、一見すると柔らかく、親しみやすいデザインをしている。

しかし、その裏側では驚くほどロジカルな設計と検証が積み重ねられていた。

熱の流れ。
木材の動き。
施工性。
安全性。
メンテナンス性。
そして、長く使い続けられること。

それらをすべて成立させた上で、初めて“美しさ”が立ち上がっている。

だからkupu saunaは、単なるデザインサウナではない。

細部に宿る思想そのものが、このサウナの魅力なのだ。


kupu sauna 大阪展 

「kupu sauna」を実際にご覧いただける展示会を開催中です。

木の香りや質感、構造の美しさ、空間に置かれたときの存在感を通して、家具メーカーならではの視点から生まれたサウナの新しい在り方をご体感ください。

  • 会期:2026年5月27日(水)〜 6月23日(火) ※定休日:水曜日
  • 時間:10:00~18:00
  • 会場:maruni osaka(大阪府大阪市中央区淡路町4-2-13 アーバンネット御堂筋ビル1F)
  • TEL:06-4967-1377

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