ONE SAUNA対談 vol.2|Yard Works Kei Amano
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2022年12月「AOSHIMA BEACH VILLAGE(青島ビーチヴィレッジ)」に併設されたSAUNA YARDの完成を祝うように関係者が集まった。
5,500坪の広大な敷地の植栽を担当したYard Works代表の天野 慶さんと、「AOSHIMA BEACH VILLAGE」の取締役でもあり、「ONE SAUNA」を生産・運営するLibertyship代表の揚松 晴也だ。
ONE SAUNA 対談vol.1につづき、「AOSHIMA BEACH VILLAGE」のプロデューサーでもあり、「ONE SAUNA」ブランドディレクターの宮原秀雄が、インタビュアーを担当した。
きっかけは「これちょっと極めたい。」
宮原 まずはお2人から自己紹介をお願いします。
揚松 Libertyship代表の揚松です。「ONE SAUNA」ブランドを2020年に立ち上げました。
天野 Yard Works代表の天野と申します。山梨で庭造り、造園業をしています。
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宮原 造園業の中でもランドスケープアーキテクチャーとは何をされる会社で、日頃どういう事をやられていますか?
天野 庭づくりですね。いわゆる外構と呼ばれる家の前の囲いから、中のテラス、植栽を全面的にやっています。今では嬉しいことにホテルやリゾート施設からも声がかかるようになりました。案件によって内容は違うのですが、意識していることは、「人が歩く時どう歩いたら楽しいのか、どう植栽があった方が気持ちいいのか」。その辺をトータル的にデザインすることが、ランドスケープアーキテクチャーですね。
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宮原 天野さんは山梨生まれ山梨育ち、本社も山梨ですよね。なぜランドスケープアーキテクチャーに興味をも持たれたのですか?
天野 建築がもともと好きで、空間を作る仕事をしたいとずっと思っていたんです。ただ、建築家になるには頭脳も運も必要とわかった時に、趣味で終わると半ば諦めかけていました。20年前の26歳のときに、母親のガーデニング教室を覗きに行ったら、植物だけで空間が成り立っていたことに驚きました。「植物と構造物」という業種で活躍されている人はあまりいなかったので「これちょっと極めたい。」と感じたことから業界に入った感じですね。
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宮原 僕が揚松さんと出会った頃は、「アラタナ」(後にZOZOテクノロジーズ)さんという会社で、濱渦(アラタナ創業社長、現NOT A HOTEL代表)さんの元にいらしゃった時の心象だとIT、ウェブ界隈の人という感じ。揚松さんの職務上の生い立ちを聞かせてください。
揚松 高校を卒業して飛行機の専門学校で整備士の資格を取って、仙台空港の飛行機整備士が社会人のスタートですね。飛行機の整備も機械を触ることもすごく好きだったのですが、「人の顔が見える仕事がしたいな」と途中で思い始め、飲食店に転職しました。飲食店に行くのなら会席料理の方が学べるし、人の喜ぶ空間づくりをするために板前になりました。
そこから、経験を重ね店長になり経営的なことを見させて頂けるようになった時に、料理が美味しくてもお店経営は難しいと実感し、また転職をします。その先が組織人事のコンサルティングをやっている会社で人事や会社作りを学びました。
その時は、東京の銀座で働いていましたが、友達の結婚式で「宮崎で面白い会社探している」と話をした時に、「アラタナ」という会社があることを知りました。そのときはECサイトなんて名前もあまり聞いたことなかったですが、「宮崎に1,000人の雇用を作る」と掲げていて、面白いことができる会社なのだろうなと魅力を感じて、入社しました。
そこからはずっとウェブ畑で8年間。ウェブ上のシステムを作り、マーケティングをやってきました。お客様から報酬をいただいて、アドバイジングしながら一緒に事業を成長させていくことを、ずっとしていたにも関わらず、違和感が昔からありました。うまくいく秘訣を教えられるのなら、自社事業したらいいのにってずっと思っていて。世の中にあるコンサル会社で自社事業している会社って少ないので、お客様へ実(じつ)のあるサービス提供ができるようにしたく「Libertyship」では「自社でもちゃんと事業を持ちます。」と設立した会社です。
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宮原 「Libertyship」としてサウナ事業に参入したところをもう少し教えてください。
揚松 そうですね。商売をしていく上でウェブって1つのチャネルでしかなくて、表現できることが限られていると感じていました。1つリアルなことをやりたいと思い始めていたのもそうですし、正直何かを作り上げることってすごい感動があるじゃないですか。例えばサウナであれば、一緒にととのって喜んでいただけたり、そこを通じてコミュニティができたり、そういう手触りのある仕事がしたいと思ってサウナ事業を始めました。
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何年後かを見込んで植栽のデザインをする
宮原 二人が出会ったきっかけはなんですか?
揚松 最初は「AOSHIMA BEACH VILLAGE」のプロジェクトで慶さんが宮崎にいらっしゃって。たまたま飲み会のアテンドを僕がしていました。
天野 そうそう、揚松さんは裏方でみんなのドリンクを聞いていたイメージしかないです(笑)
揚松 そうですよね(笑)。その後、「AOSHIMA BEACH VILLAGE」で一緒に仕事しましたが、一番密に取り組んだのは自宅の庭の「AOSHIMA SAUNA CLUB(青島サウナクラブ)」のSAUNA YARD作りをご一緒させて頂いた時ですね。
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宮原 揚松さんの自宅横の土地で、「AOSHIMA SAUNA CLUB」という名のSAUNA YARDを作りたいと依頼があった時はどう思われましたか?
天野 地元にあるサウナには通っていましたが、屋外サウナって全然イメージが湧かなくて。庭にサウナを置きたいって言われた時に、また変なことやっているな?(笑)と思いながらも、「じゃあなにができたら楽しいのか?」というのはすごく考えました。サウナ後っていろいろなアクションも好きにやっていいじゃないですか。焚き火をしたり、映画を見られたら楽しいとか。実はうちの中庭でやっていることをサウナとくっ付けたら合うと思って、SAUNA YARDが生まれた感じですね。
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宮原 天野さんはランドスケープアーキテクチャーをやっている時の自分なりの醍醐味はなんですか?
天野 庭作りって生活の一部だと思っているので、こういう人たちに来てほしい空間づくりができることは、やりがいがある仕事だと僕は思いますね。
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宮原 実際に「AOSHIMA SAUNA CLUB」が完成して、その過程や出来上がりを見てどうでしたか?
揚松 素敵だなと思ったことは、何年後かを見込んで植栽のデザインをしてくださったことです。完成して3年経ちますが、ボリュームが出てきて本当に森っぽくなってきて、めっちゃ楽しいですね。あとは、“すべてを言わずとも形にしてくれる“ということってクリエイティビティだなと思っているですが、まさにそれだなと感じました。本当に良い物を作ってくださったと思います。
天野 夜な夜なやりとりをした記憶がありますね。導線がよくわからなかったので、初めのプランとシャワーの位置を変えたじゃないですか。それがすごく印象に残っていて、的確かつ瞬時に返答が来たから、やりながらの躍動感が面白かったですね。あの短期間でいい経験をさせてもらったなっていうのはありますね。あと、SAUNA YARDを作る時に「ONE SAUNA」を売り出すって言っていたじゃないですか。それも自分の中では重要で。体験したいと思ってもらえるにはどうしたらいいかは常に考えていました。
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宮原 「SAUNA YARD」の名前の由来は、「“Yard” Works」と組むからリスペクトを込めて「SAUNA “YARD”」にしましたね。実際にそのSAUNA YARDを天野さんが手掛けられて、何か感じたことはありますか?
揚松 一番は短期間かつ、初めてのことにもかかわらず、素晴らしいクオリティに仕上げてくださったことです。宮崎の現場まで、わざわざ山梨のチームが来てくださいました。短期間でのプロジェクトでしたが、納期までに仕上げ切ってくださったことが、今後も一緒にプロジェクトを進めていく中で、とても安心感があります。もちろんむちゃ振りばかりはできないですが、一緒に取り組みさせて頂きたいと心から思ったひとつですね。
あとは、来ていただいたメンバーがかっこいい。かっこいいというのも、チャラついたかっこよさではなく、ドスン!と構えて「何でもやったるでぇ!」みたいな感じですし、車も全塗装されてすごく素敵でした。好きな仕事をして、その延長線上で素敵な空間作りをしているのは本当に尊敬します。
天野 本当そのとおりで僕だけじゃどうにもならないですよね。あの仲間、チームがいるからこそ、僕もむちゃな提案ができるっていうのがあって。見た目はいかついですけど、会ってみると誠実だし、実は評判が良かったりする。こういうチームをもっと作りたいね。
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二次元のイメージを立体的にしてくれる
宮原 「AOSHIMA SAUNA CLUB」を経て、ちょうど今2人がいる「AOSHIMA BEACH VILLAGE」のSAUNA YARDについて聞いていきます。揚松さん自身が青島プロジェクトの役員でもあり、ONE SAUNAを納品する立場でもあり、2つの目線からプロジェクトに対しての想いをお願いします。
揚松 どちらの立場でもある自分として、一番いいものを作らないといけない気持ちでした。僕は宮崎が地元なので、こんな場所があったら本当にワクワクするだろうなというアイデアを慶さんにお渡してプロジェクトがスタートしました。
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宮原 「AOSHIMA BEACH VILLAGE」のSAUNA YARD作りでの苦労や大変だったこと、逆にここがポイント等があれば教えてください。
天野 揚松さんの家で実績があるというのが自分の中で大きくて、さほど苦労はしていなかったんです。ただ、1回作っているからこそ、ひとひねり、ふたひねりしたいというのがあって。回遊式にしてその部分を焚き火台にしたりとか。でもこのアイデアって実は揚松さんから生まれて、いろいろなレイアウト考えました。あと僕は導線をすごく大事にするので、このサウナエリアの入り口に立った時にどう見えるか。そこはすごく意識しましたね。
揚松 やりとりする中で自分のイメージって二次元だなと思っていて、それを慶さんが立体的にして結果的にいいものができたと思っています。
天野 揚松さん器用だからコツ掴めばすぐできそうだね。外気浴中の植栽の見え方も計算しているので、ぜひ多くの人にSAUNA YARDを体感していただきたい。今後は、サウナと庭をセットにしたSAUNA YARDを全国に広めて行きたいね。
揚松 出来上がった姿を想像して空間づくりされているから、ここに何を植えるかまで細かく指定されているのですね。
天野 愛ですよ。
揚松 お互いにゼロイチをやり続けたからこそ、新しいこともできると思って挑戦するマインドなのかもしれないですね。
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ー編集後記ー
今回の対談を通して見えてきたことは、手仕事から始まったお2人だからこそ通じる根幹の理解。そして「AOSHIMA BEACH VILLAGE」のSAUNA YARDを理想の庭に完成させたのは、事前に取り組んだこともあるが一番の秘訣は職人に対してのお互いのリスペクトであろう。今後、全国にSAUNA YARDが展開されていくことが楽しみだ。
天野 慶(あまの けい)
株式会社YardWorks 代表取締役
2007年に景観・公園めぐりの為、ヨーロッパ放浪。帰国後独立。
日本特有の四季を大事にし、作品一つ一つにストーリーを持たせ、創造力と共に後世へと残る庭作りを心掛けている。植栽は植えてそれで終わりではなく、住んでいく人と共に育っていくものと考えている。植物を軸とし、デザインも素材も極力シンプルな外構を植物で演出して彩るような、緑を主体にした植栽設計、外構の提案、外部空間に限らず、店舗の空間、ブース空間、プロダクトデザインも提案している。最近では、地元山梨だけでなく、全国各地、海外に手掛けた空間が増え、リゾート開発やキャンプ場のランドスケープも手掛けている。山梨県在住。
揚松 晴也(あげまつ はるや)
株式会社Libertyship 代表取締役
1986年生まれ、宮崎県出身。専門学校にて航空整備士の資格を取得後、仙台空港にて航空整備士として従事。 2009年 埼玉県の会席料理店に転職、店長、調理師として働く。2012年 銀座の組織人事コンサルティングファームで営業、セミナー運営等の経験を積む。2013年 株式会社アラタナへ入社。EC構築パッケージの営業及び、ディレクターとして100サイトを超える自社ECサイト構築プロジェクトに参画。ECコンサルとして、集客・接客・CRMなど、自社ECサイト売上向上の支援も行う。2015年 スタートトゥデイ(現ZOZO)グループにアラタナがM&Aされてからは、部長としてファッションEC特化のフルフィルメント業務支援の運営や全体最適化コンサル等を実施。新規事業等の開発プロジェクトにも携わる。2019年 株式会社Libertyship設立。EC/WEBのプロジェクトマネジメント事業を営む。2020年 国産パーソナルサウナブランド「ONE SAUNA」をローンチ。2021年青島プロジェクトの取締役に就任。
宮原 秀雄(みやはら ひでお)
株式会社Libertyship 取締役 / ONE SAUNA ブランドディレクター
1997年3月関西学院大学経済学部卒業後、同年4月より株式会社博報堂入社。2014年3月末に退職後、株式会社CANVASを立ち上げ、ライフスタイル誌『CANVAS』の発行人を務めながら、各種プロジェクトのプロデュース/マネジメントやブランドのクリエイティブディレクションを行う。翌2015年1月に東京を離れ家族で宮崎へ移住。同年夏青島で「AOSHIMA BEACH PARK」を総合プロデューサーとして開業。その後、横の土地で「AOSHIMA BEACH VILLAGE」をもプロデュース。 2020年9月より株式会社Libertyshipへ取締役としてジョイン、同年12月に代表の揚松と共にONE SAUNAブランドを立ち上げる。